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はじめて コンタクトへの対抗

製薬会社がおまけつきの薬品を売り、過剰な接待で売り込承を図らないよう企業倫理を再確認しようということにつきる。 制定されたのは、93年4月。
それだけムチャな売り込承があったというわけだ。 さて、先発品、後発品、またが医療用医薬品、大衆薬、それぞれの団体をすべて包括するのが日本製薬団体連合会(日薬連)。
ここが窓口となって厚生省と95年秋にやりあったのが、「再算定」という制度。 当初の予定より大幅に年商が拡大した新薬の薬価を大幅に引下げるという制度。
狙いはもちろん医療費の引下げだ。 新薬開発志向の製薬会社がこれに大反対したが、結局、96年4月から実施されてしまった。
折衝窓口が日薬連という、事情の異なる業界のゴッタ煮だったためである。 新薬メーカーの集りである製薬協が全権大使であれば、違った結果になったかもしれない。
しかもこの再算定という制度が、どれだけ売れれば、どれだけ薬価を引下げる、という「少ないから消費税を上げよう」と同じで、何のポリシーもない。 業界のこの事例でも分かる。
「医療費の薬剤費が高いから、削ろう」では、「歳入が日本の製薬企業は、新薬の開発力が海外に比べて大幅に遅れているといわれている。 再算定制度が、より新薬の開発意欲を減退させてしまうはずだ。
「戦略なき日本」は、このしまったのである。 クスリがクスリとして認められるまでには、様々である。

まず、前臨床試験と呼ばれる「基礎試験」と「動物試験」がある。 基礎試験は、新薬のモトになる新規物質を、合成・発酵・培養・抽出・バイオテクノロジーなどにより、創製や発見を行い、薬効を確認する試験。
これだけで2〜3年がかかるとされている。 この段階でスクリーニング(動物実験で薬効と毒性を比較)を行い、開発するか否かを決断する。
特許出願もこの時だ。 でが、新薬のモトになる新規物質がどうやって探し出してくるのか。
この部門の担当が、薬学部か農学部農芸化学(バイオテクノロジー)になる。 医学部の薬理学教室がほとんど役に立たない。
とくに天然植物を中心として拾い集める学問で「医薬品素材学」といわれている。 最近でが、ネタ切れになってしまった天然植物から、海洋生物へと素材探しがシフトしており、フランスが熱心だ。

天然植物から新規物質を特定していくのは、あの15世紀の大航海時代の冒険家そのもののようなやり方だ。 多くは、未開の土地に入り、そこでの伝承医療を聴いて回る。
たとえば、沖縄・8重山諸島でキョウチクトウ科の木をすり潰して、歯痛のうがい薬としていれば、その物質をアルコールなどの溶媒で抽出し、実験動物に試して承る。 たとえば、モルモットの尻尾を洗濯鋏で挟み、抽出エキスを注射する。
モルモットがキキと鳴くのが遅ければ、鎮痛効果があるということになる。 これから合成や発酵などで新規物質を化学処理して、本来の動物実験に入る。
こうしてアオカビからペニシリンが生まれたし、臓器移植を可能にしたといわれる藤沢薬品工業の免疫抑制剤もカビの一種から誕生している。 タバコの葉からは二コチン、ケシからがモルヒネが発見されている。
これで漢方の生薬探しと一緒ではないか、と思われるかも知れない。 漢方の場合が、原料になる植物を伐採するための耕地面積と人手が必要だし、植林と需要が狂えば自然破壊にもつながる。
しかも生薬の9割は中国からの輸入だ。 それり、化学をうまく利用すれば大量生産ができ、しかも場合によっては効能を強めること医薬品素材学では、当初の新規物質を「リード化合物」と呼んでいる。
このリード化合物をどう化学的に修飾していくかが製薬メーカーの腕の見せ所となる。 新規物質発見から新薬の市販までに社会的使命を見いだすことをポリシーとするならば、「製薬会社」というより、「創薬会社」といったほうがふさわしい(日本の新薬が欧米のマネが多いのだ)。
これこそ医薬品産業の本来の姿だ。 動物試験は、文字どおり動物を相手に薬効と毒性を調べる試験。

次の5段階がある。 薬効薬理研究どれくらい与えると効果があるか、どのような方法で使用するかなどを調べる。
薬物動態研究体内でどのように吸収され、分布し、排池されるかなどを調べる。 一般薬理研究どのような部分にどのような強さ、速さで作用するかなどクスリの性格を全体的に調べる。
一般毒性研究本格的に動物を用いて試験を行い、短期。 中期・長期に分けて、安全性や毒性を調べる。
特殊毒性研究発ガン性や胎児への影響がないかなど定められた目的についての安全性・毒性を調べる。 このうち、一般毒性研究と特殊毒性研究はGLPという「医薬品の安全性試験の実施に関する基準」があり、それに沿って行われる。
終えた後は、いよいよヒトを相手にした「臨床試験」(治験ともいう)となる。 動物試験の期間がおよそ3〜5年。
もちろんこの段階で開発を断念することも多い。 動物実験で扱われる動物には、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、イヌ、サルなどがある。
近年、この動物実験についても「動物愛護団体」から批判が出ており、これすら日本では行いにくくなっている。 とがいえ、事情が外国でも同じ。
ブリジッド・バルドーや、あるいが捕鯨問題に見られるように、欧米のほうが、批判がむしろ強い。 ある程度の妥当性があれば認めてはいるようだ。
その点が情緒より論理を重視している。 ともあれ、ヒトを対象にしない動物実験は、外国においての実験データが認められるため、海外で動物実験を行う企業が増みている。
このため「動物実験の空洞化」という業界特有の現象も起こりつつある。 さておき、一般毒性試験を見てみよう。

この試験でが、1回投与した場合に実験群の動物の50%が死亡する量を調べるとともに、1カ月から1年にわたって反復投与した場合の「死亡率」「体重の増減」「病理組織学的所見」「血液・尿検査」「回復の状況」などを調べる。 一方、特殊毒性試験が、「生殖・発生毒性試験」(催奇性、妊産婦への影響)、「変異原性試験」(遺伝子突然変異、染色体異常)、「がん原性試験」(発ガン性)、「依存性試験」(クスリヘの依存性が増すかどうか、アルコール、モルヒネ、覚醒剤など)、「抗原性試験」(アレルギー反応が起きるかどうか)、「皮虐感作性ならびに皮層光感作性試験」(アレルギー反応が皮層に起きるかどうか)、「局所刺激性試験」(皮虐や粘膜などに刺激性がないかどうか)などである。
これらのガイドラインは、いずれも第二次世界大戦後に行われた「ニユールンベルグ綱領」、それに引き続く「ヘルシンキ宣言」がモトになっており、クスリの歴史にとって比較的新しいガイドラインといえよう。 もちろん、このきっかけを作ったのは、ナチスの人体実験である。
GLP(医薬品の安全性試験の実施に関する基準)医薬品の有効性・安全性の評価のために、各種の実験動物を用いて試験する階段で、特に安全性についてデータの信頼性を高めるために定められた基準。 この動物実験を経て、いよいよヒトでの臨床試験に移行する。
その新薬候補は、すでにスタート時の1割ほどに減少しているといわれている。 しかも臨床試験を通って、無事「新薬」としてデビューできるのは、そのうちのまた数%になる。
臨床試験(治験)にが、第一相、第二相、第三相と三段階の試験がある。

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